The Long And Winding Roaders
平均年齢:67.2歳。妄想仮想バンド名:The Long and Winding Roaders(ロング・アンド・ワインディング・ローダーズ)
あの日、僕たちの終活は「デス活」になった妄想の話。
【ひょんなひょうしのストーリー】
すべては、地域の福祉センターで開催された「シニアビートル音楽祭」の予選会から始まった。
彼らは往年の名曲『The Long and Winding Road』を演奏するはずだった。しかし、本番直前、ベースのユキオが補聴器の電池を切り忘れ、アンプに近づきすぎたせいで「ギィィィィィン!!!」と凄まじいハウリング音が発生。
焦ったドラムのヨッチは、緊張のあまり餅つきの高速リズム(1秒に4打)でカウントを取ってしまい、ギタリストのアキラは関節炎の痛みを紛らわそうと指を激しく痙攣(グラインド)させた。
ステージ中央に放り出されたボーカルのミッチは、頭が真っ白に。 「(あかん、歌詞を忘れた……! 朝飯何食べたっけ……喉が詰まる……あ、アジの開き……!)」
「アァァァァァジィィィィのォォォォひぃぃらぁぁきぃぃぃぃぃ!!!!(超低音デスボイス)」
静まり返る福祉センター。しかし、たまたま審査員席にいた「孫の付き添いで来ていた現役ヘヴィメタル誌の編集長」が立ち上がり、涙を流して拍手を送った。 「素晴らしい! 前衛的なグラインドコアだ! 本家への最大のリスペクトだ!」
こうして、予選は「演奏ジャンル違い」で失格になったものの、その様子がSNSに拡散。 「平均年齢67歳の超新星デスメタルバンド誕生」とネットが大炎上した。
【その後の活動】
彼らは「まぁ、冥土の土産に」と、そのままバンドを結成。
•コープスペイント(白黒の悪魔メイク): シニア特有の「顔の血管の浮き出方」や「シミ・シワ」と絶妙にマッチし、メイクの手間が半分で済む。
•ライブMC: ミッチのデスボイスで「お前ら全員、地獄へ道連れだー!」と叫ぶと、客席の同世代から「もうすぐ行くから待っててーねー!」と大歓声が上がる。また代表曲の「ザ・ファイナル般若心経(デス声明ver.)」を披露するときは何故か客席の人たちが手を組んで拝みだすのである。
•ヘルシーな活動: デスメタルは激しい運動になるため、全員の血圧と血糖値がみるみる下がり、主治医から「その調子で狂い狂え」と太鼓判を押される。
今日も彼らは、お揃いのロキソニン湿布を貼って、世界のフェスからのオファーを待っている。デスメタルのマークは友人に頼んだが、スカルの頭部にロゴを入れたのは、ハゲ隠しとの理由、まあ一理ある。これからの 彼らのロード(道)は、長く、曲がりくねり、そして最高にうるさい。
【登場人物(全員、地元の老人会仲間)】
•ミッチ( 67歳 / ボーカル): 孫に勧められて「喉の老化防止」にボイストレーニングを始めたら、なぜかデスボイスの才能が開花。元・学校長の真面目な公務員。
•アキラ( 67歳 / ギター): 若い頃ジミーペイジに憧れたが、指の関節炎のリハビリ用に買ったギターでなぜか超高速リフを刻み始める。イタリア料理店社長。ここはみんなの集合場所だ。
•ユキオ(68歳 / ベース): 耳が遠いため、重低音の振動(アンプの風圧)しか感じ取れない。インプラントと称し下の総入れ歯を自分で電動ドリルでビス留めしている。さすが元・電気屋である。
•ヨッチ( 66歳 / ドラム): 趣味の「餅つき」で鍛え上げた腕力で、ツーバス(ドラムをドコドコ踏むやつ)を破壊的な早さで連打する。牧場主。
•ケンジ (68歳 / マネージャー兼MC): 補聴器のハウリング音を「インダストリアル・ノイズ」として演出に組み込んだ天才。元・保険営業。
